
3月6日(土)11時~14時●コロナなので日々輝学園の教室からZOOMで円卓介護をしました。総勢30人で「外国ルーツの子どもの貧困」について考えました。
報告●山本明子(日々輝学園高校・宇都宮キャンパス長)
子どもSUNSUNプロジェクト定期円卓会議、今回のテーマは「にほんでいきる海外につながる子どもたち」をテーマに3人のゲストスピーカーに話を聞いた。
家の困窮+ダブルリミテッド・・・母国語も日本語も半端。読み書きができない
まず、茨城NPOセンター・コモンズ代表理事横田能洋さんに外国ルーツ支援先進地である常総市での活動の様子を話していただいた。
2008年くらいから、外国人労働者の問題を考えるようになり、2010年には、外国人の就労就学サポートセンターでの活動を開始。就労条件がよくないので生活が苦しくなり貧困状態に陥ってしまう。なんとかそれを改善しようと横田さんは取り組んだのだ。現在はコロナもありビザの申請も滞り、結果「仮放免」という中途半端な状態になる。住民登録も保険も就労も無し。どうやって生活できるのか・・・頭を抱えてしまう。また、子どもたちの大きな問題に気づくことになった。それが、ダブルリミテッドだ。自身の母国語も日本語もしっかり身につくことができず、多少の会話はできても、読み書きができないので孤立化してしまうケース。公立学校も一定数を超えないと専属の教員の加配もなく、またその教員も研修が行われないので自己流になってしまう。言語も様々。親も学習支援はできないまま。支援ボランティアも少ないのが現状。一方、家庭の中も兄弟が多いため、面倒を見なくてはならず不就学となるケースも少なくない。
小学校で不登校になるので、プレスクール&プレクラス
そこで就学前のプレスクールを実施し、文化の違いを教えた。例えばトイレの使い方など。途中からの転入のケースではプレクラスとして、日本のルールを学んでから学校へ通い始める試みもやっている。高校については定時制高校を選択するケースが多くなってしまう。選択肢の幅を広げたい。入試の特例選抜の枠も少しだが広げることができた。ルビをふるだけでも違う。進学ガイドブックも多言語で作成しガイダンスも通訳を交えて実施している。
こうして、外国籍の住民を大切にすることで地域で活躍できる人を育てることが重要と話された。そして、子供たちの将来を考えると、母語でまずはコミュニケーションを家族内でしっかり行うことが大切とのこと。きちんと高校を卒業し定職に就くと、定住ビザを取得することも可能になるのだ。これまでの取り組みから、茨城県教育委員会からグローバルサポート事業を委託されるまでになった。多文化共生のまちづくりと人づくりを目指して、今後も子どもたちのために活動していきたい。夜間中学の取り組みでは、20人の入学者の中で17人が外国籍の人だったという。
伴走支援+社会のシステム+インフラ
次に栃木県若年者支援機構の理事長中野謙作さんに栃木での外国ルーツの子どもたちの現状や事例をお話ししていただいた。1995年からの25年間、子どもたちへのいろいろな支援を行ってきた中で、近年外国ルーツの子どもたちが増えているのは事実。そして、社会的自立を目指すためには、社会的孤立を防ぐことが重要な課題。このあと、ケース事例をいくつか紹介していただく。どのケースも、つながる周囲の大人によって改善していくし、理解し合えることで大人が変わり、子どもも変わる。言いにくいこと、言葉がうまく伝わらないことなども少し・の努力や配慮で乗り越えられていくのだ。何よりも子どもが元気になるためにはとどうすればいいのかと考えて動いていらっしゃるし、これからの地域づくりの課題として伴走支援・継続的にかかわれる人と塲の必要性を話された。
会話できても読み書きできず・・・・「放置」ではなく「積極的に教育」が日本の未来をつくる
最後に小山市で外国ルーツの子どもたちに日本語教育を行っているきぼう国際外語学院日本語事業部主任講師、栗又由利子さんに具体的な子どもたちとの関わりから見えてくる課題などお話しいただいた。栗又さんは、千の会という団体での活動もされている。ご自身が留学を経験し、その時に逆の立場で言語の大切さに気が付き文化や言葉で困ることなく日本で生活できるよう支援をされてきた。会話はできても読み書きができず、発達障害と思われたりすることも少なくない。また、会話ができるからと学習支援からこぼれてしまうケースもある。国籍が日本でも、親が外国人のために学習をみてもらえないまま成長してしまうケースなど。また教える先生によって差ができてしまう。ポルトガル語ができても、韓国語はわからない先生は、教えられないというようなケース。日本語がわからない、文化習慣がちがう。それぞれに課題がある。肌を露出している女の子が痴漢にあってしまった。痴漢は悪いことだけれど、肌を露出しすぎないような文化を教えないといけない。過去を分析する力、置かれてきた環境を分析し、どんな立場で、何ができて何ができていないのか、そして未来を創造する力をもってほしい。それを理解し受け止める大人が必要。大きな支援でなくても見守ってもらえる存在が必要。親でなくても近くにいる大人。家族でない方がよいときもある。きちんと働くようになり税金を払える大人になれるようにしないと日本の未来はないのではないか。
このあと、視聴された方々との意見交換がなされた。
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2021年度の子どもSUNSUNプロジェクトは「外国ルーツの子どもの貧困」について調査します。
予告
7/10 総会・・・ZOOMでとリアルで実施(場所日々輝学園15人定員)
5/22:月例会10:00-12:00●Vネット事務所+ZOOMで
6/12:月例会10:00-12:00●Vネット事務所+ZOOMで